2012年6月25日月曜日

第23回NIJIの会例会 報告

第23回NIJIの会例会

【日 時】 2012年6月25日(月)18:00~20:30
【会 場】 北海道経済センター8階
【テーマ】 変わりゆく中国東北地方 ~北海道銀行 瀋陽駐在員最新レポート~
【講 師】 北海道銀行 国際部 中国室長 正司毅 氏
【出席者】 第一部セミナー  企業参加者67 名;留学生6名;関係者 13名
       第二部交流会   企業参加者53 名;留学生6名;関係者 6 名

講師の正司室長
 




開始前の留学生ミーティング

留学生が主体となっての会場設営

交流会司会の陳競華さん

交流会・乾杯の挨拶




講演内容

◆中国の東北3省について
遼寧、吉林、黒竜江の都市・経済・産業について。

◆北海道銀行の中国進出について

事務所のある瀋陽について。瀋陽経済圏は2400万人。面積は札幌市の11倍、人口は4倍。この数字だけ見ると人口密度が低いが、市中心部に520万が集中しているので市内は密度が高い。ビジネスのターゲットとする瀋陽は、ここ。月~金まで活気に溢れ人が溢れている。7,8階建の古い建物は今どんどん壊して新しくしている。

道銀瀋陽事務所は亀とコインをかたどった、台湾の人が作った建物(お金がたまる風水)。2006年8月1日に開設。具体的な仕事は、市場調査や視察のプラン立案や同行。年に一度現地のホテルで集団スタイルの大規模商談会。殺虫剤や中古車を売りたい等という個別の相談に対しても情報提供をしている。そのほか会報誌で2か月に一度中国関連の記事を出している他、HPの中でも最新情報を公開している。

出向も含めると瀋陽、北京、大連、上海に人を出している。ハルビン、大連、南方など人を出せない地域へは、情報交換や経済交流を促進するため現地と経済協力協定を結んでいる。特に長春の商務局とは日系企業誘致で協力している。例えばハルビンに興味のあるお客さんがいた場合、相談してもらえれば、瀋陽と同じようにサポートができる体制。このように中国全土の主要都市をカバーしている。

◆瀋陽事務所での活動内容

6年間瀋陽で色々な商談を見てきた。大事だなと思ったものは商談インフラの整備。北海道のお客さんは中国にあまり行った事がない人が多い。空港に就いてからホテルまでどうやって行くか、通訳はどう手配するか、移動手段、ごはんを食べる場所など不安に思っている方がいる。特に最初の接触の時。私がホテルと通訳・車を手配し、アテンドして食事もカラオケも一緒に行く。するとお客さんは余計な事を考えず、仕事(商談)に集中できる。

瀋陽滞在の印象が悪いと、商談が良くてもビジネスがまとまらない。瀋陽でおなかを壊した・タクシーで騙されたという事になると、絶対次の仕事に結び付かない。瀋陽に来たお客さんに帰り際「また来るよ」と言われればビジネスは成功する。このように商談以外の環境整備はとても感謝される。3回目の商談までは毎回サポートし、4回目からはお客さんが自分でできるようになって、勝手に来て勝手に帰る。中国での各種手配はとても負担だけどやってみれば簡単。入口の部分が非常に重要で、一見すると何の価値も生まれてないけどお客さんのサポートにおいてはとても大切な部分。

◆通訳の重要性について

通訳はとても重要なのに、あまりそう認識されていない。昔は政府主催の商談会でも、日本語学科の大学生が通訳をしていた。通訳者の事前の準備はなし、ただ日本語できるだけ。これで通訳できるはずがないが、数年前はそれが普通だった。ビジネス経験や社会人経験が無く、いきなり来て日本語だけで通訳できれば通訳会社は苦労しない。これでは商談が成立するはずはない。今までずっとそれでやってきたが、私達が実際行って問題の大きさを知った。

私達はまずプロの通訳会社2社を優先して使って仲良くし、質の高い通訳を確保した。また通訳の面接をしてふるいにかけるようにした。だめな人は変えてもらう。それに加え、私達が通訳に同行して間違いが無いかをチェックして、ダメだったら変えてもらう。そこまでやらないと実は通訳は通訳としての機能を果たせないことがある。日本の人は何を言っているかわからないから、通訳を信じるしかない。信頼できる通訳がつくまでサポートし、ある程度あたりがついて来ると、逆にお客さんが通訳を指名するようになる。こうなったら後はお客さんにお任せする。

◆商習慣について
日本人は中国の人を見ると、同じアジア人だからわかってくれるだろうと思う人が多い。でも中国の人はアメリカ人よりもドライな考え方をする。日本人とは逆のことを考えていることが多いが、日本人は自分と同じと考えるきらいがある。相手の目が青い・髪が黄色いとそうでもないが、肌の色が同じだとなぜかそう思う。

中国人は「できません」とは言わない。「没問題(問題ない)」とよく言うが、日本人はそれを額面通り信じてしまう。例えば「この扇子を来月までに1,000個作ってください」と言うと「没問題」との答えが来る。1,000個頼んだのに納品日になったら950しか来ない。中国の人は頑張って950集めたからいいじゃん、と思う。「没問題」の意味は「問題なくできるはずだ、そのために全力を尽くす」ぐらいに思っておいた方が良い。「没問題」で終わるのではなくて、いつどこからどうやって仕入れるのか、詰めていかないといけない。日本人が当たり前と思う事も確認すること。

私達は商談の最中に口出しをしない。値段が高いとか安いとかはお客さんが決めること。ただ日本側と中国側の認識がずれていてそれを放っておくと、後日話が合わなくなる。そうなると日本人は「騙された」と言う。通訳や商習慣の違いの事を考えれば、ずれは調整していかなければいけないが、できてない。私達の役割は、ずれた時に確認をすること。今日本側が言った事はこういう事、中国側が言った事はこういう事だよねと、感じているずれを戻して行くのが私達の仕事。
中国語もビジネスもわかる人は双方の認識のずれがよくわかる。だから私は通訳でもないのに商談に付いて行く。私達道銀スタッフと優秀な通訳がいれば大体ここは解消できる。中国ビジネスを進める場合はこういう入口が、中身よりも問われる。

◆相互理解について

中国を知り中国を理解することが大切。意外と中国を知らない人は多い。日本の報道は反中が多く、中国の悪いニュースばかり取り上げられる。このような中で中国を理解することはできているだろうか。こちらが中国を理解しようと思うと、中国側も日本を理解しようとする。

ある暖房器メーカーが8月に商談会をして、12月に相手の中国側企業を呼んで実際に日本を見てもらった。双方がお互いをよく知ろうとして、何とかお互い発展しようとして、何回も技術指導などで行き来した。中国を尊重しようとすると、頑張ってもらえる。その会社は一生懸命に技術習得して工場も建てて、今は立派に生産している。会社の規模に関わらず付き合う以上はお互い尊重しなければいけない。中には売れない商品を中国でさばけないか、などという相談をしてくる会社もある。まだどうしても中国を蔑む固定観念が見られる。

◆宴席でのルール
・座席がとても大切、用意周到に
・乾杯では、必ず飲み干す
・乾杯の順番も大事
・乾杯の際の手の位置に気を遣う
・一人で勝手に飲まない
・飲むなら全部飲む、飲まないなら一滴も飲まない
・日本と違い瓶に最後に残ったお酒が喜ばれる
・料理が4つ出るまで飲み始めない
・料理の完食禁止(全部食べると足りなかったと思われ2皿目が来る)
・料理は残しても酒は残さない
・宴会には少し遅れて行くこと(招待側に客を待たせるという失態をさせない)

こういう中国の作法を覚えて見せると、とても喜ばれる。場が和んで次の商談がスムーズに進む。豆知識として知っておくだけでなく、実際に使える。

◆その他中国の結婚式などについて