2012年8月29日水曜日

第24回NIJIの会例会 報告

第24回NIJIの会例会

【日 時】 2012年8月29日(月)18:00~20:30
【会 場】 北海道経済センター8階
【テーマ】 北海道における海外ビジネスの課題と展望 ~貿易事業に30年携わって~
【講 師】 コンチネンタル貿易株式会社 代表取締役社長 本間 良二 氏
【出席者】 第一部セミナー  企業参加者37 名;留学生20名;関係者 9名
       第二部交流会   企業参加者30 名;留学生20名;関係者 6名



講師の本間社長



1部司会の馮寧君さん


留学生による受付の様子


会場の様子


留学生の自己紹介

講話概要

◆コンチネンタル貿易について

・文化大革命が始まって3年後の1970年に先代が創業。
・先代が ①音信不通となった学生時代の友人(中国からの留学生)を捜したい ②中国の復興に役立ちたい との思いから中国との取引を開始
・現本間社長が後を継いでから商材を一新、食品から繊維や石材へとシフトし売上げを伸ばした。
・現在は家具などを輸入し、会社は再成長期を迎えている。
・食品の輸出はリスクが高く煩雑なので手がけていなかったが、中国からオファーが来るようになり3年前から始めた。


◆北海道の海外ビジネスの課題と展望

・現地向けの食品の輸出は、現状では量が集まらず、小ロット多品種に対応しなければいけない。
・魚介類の冷凍品は元々コンテナで輸出されているが、それは加工販売用で、現地の人が食べる機会は無い。
・原発事故以降は検査が厳しく、証明書のついた商品まで再検査される。
・各官公庁が予算をつけて現地で物産展を開催しているが、需要が定着するには至っていない。
・日本食自体は人気があるので、それに続いて北海道の食を定着させられるかが、今後の食品業界の課題。


◆道産食材の強みと弱点

・北海道は自給率が200%越える生産能力が強み。これをより活かすべき。
・映画「非誠勿擾」の影響もあり中国人の北海道のイメージはとても良い。
・北海道の食品は従来より安心・安全というイメージで人気があったが、今後中国では安心を追い求める風潮が強まると見込まれる。
・このような強みがありながら食品が輸出しにくい背景には輸出品目の制限やHACCP認証要求など国家間の相互規制、または乏しい物流手段などがある。

・北海道が強みとする生産物には、各国とも規制が厳しい。
・北海道の食産業のメーカーは中小企業が多く、自ら海外進出に乗り出す資金力や人財が乏しい。行政や民間商社がそれを補うという役割が期待される。
・北海道の加工食品は原料の輸送にコストがかかり、また製造ロットが小さいので本州産に比べると高い。

・ロットを大きくする、生産者が直接販売までを担うなどで価格を下げる努力が必要。
・生鮮品などの輸出については、北海道産品を特別扱いするよう外交交渉を進めるべき。長崎には実際そのような事例もある。
・単に食品だけでなく、北海道の食文化を輸出するという考え方が必要。政府の主導で「北海道食モール」を作り道産品をいっぺんに楽しんでもらうなど。
・価格競争力をつけ、北海道食文化を輸出し、規制を解除してもらう、これを地道にやらなければ先は無い。


◆就職したい留学生のために貿易の失敗率を減らすには

・最初から大成功した貿易事業者はいない。失敗を重ねて試行錯誤してやっと辿り着いたという人が大半。途中で撤退した人もたくさんいるなど、簡単ではない。
・貿易事業は単独では成り立たない。物流、製造、建設などスタート時点では本業を持っている場合が多い。基礎が固まっていて初めて海外ビジネスが出来る。
・しっかりした会社でノウハウを勉強して実績と資金を得てから、自ら新しい事業を提案するのが良い。
・相手国のことや日本のビジネスのことをよく勉強し、売り先などが決まった状態で始めないといけない。
・輸出業と輸入業は全く違う人達が顧客となる。顧客に合わせて営業の方法も変えなくてはいけない。